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modern american economy
4-4. ブッシュによるレーガノミクスの継承

担当:甲南大学 稲田義久


 双子の赤字という負の遺産を残したレーガン大統領の政策は、1989年1月にブッシュに引き継がれます。彼は80年の共和党大統領指名選挙でレーガン候補に破れますが、2期にわたってレーガンの下で副大統領を務めました。

4-4-1 ブッシュの経済政策:狭まれた選択幅
 双子の赤字という大きなハンディを負ったため、ブッシュ大統領の経済政策は画期的なものとはならず、新鮮味にかけるものでした。簡単に整理すれば、以下のような特徴を指摘できるでしょう。

(1)税制問題
増税には絶対反対を表明。好景気が続けば増税や大幅歳出削減を伴わず財政赤字削減は可能と主張(コラム:増税はごめんだ(No New Tax)を参照)。

(2)財政支出問題
「フレキシブル・フリーズ(flexible freeze)」とよばれ、インフレの範囲内に財政支出の伸びを抑える。こうした抑制策により国債金利が下がり93年には財政均衡は実現し、好景気と柔軟な凍結により増税は回避できると主張。

(3)内政問題
引き続き政府の規制緩和による産業の成長を促進する。特に、国内エネルギー産業の奨励策をとる。これは出身地テキサスの利害を反映したものか。

(4)通商政策
伝統的な共和党の理念に沿う政策で、ガットでの多国間交渉を支持、自由で公正な貿易を維持する。


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