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modern asian economy
5-2. アジアへのコンディショナリティの内容
担当:甲南大学 高龍秀<コ・ヨンス>


コンディショナリティを順守しなければIMFからのドル支援が中断されるため、コンディショナリティで示された経済政策を各国は実行せざるを得なくなりました。
⇒アジア危機国の経済主権が実質的にIMFに奪われたともいえます。

では、コンディショナリティはどのような内容だったのでしょうか?
(1)金融・財政の引締め=韓国では短期のコール金利が30%という高金利政策 ⇒<表3>

(2)金融機関の改革:アジア各国での最優先課題
BIS(国際決済銀行)の自己資本比率を厳格に適用。金融監督機関の権限強化。
【 韓国 】
5銀行を再生不可能として清算、3組の銀行の合併、2銀行を海外売却予定

(3)企業(財閥)の改革:国際会計基準による財務諸表の透明性、独立的な外部監査制
コーポレート・ガバナンス(企業統治)の確立

(4)労働市場の改革:特に、韓国で強調された。
・整理解雇制・勤労者派遣法の制定 「労働市場の柔軟性」を向上

(5)貿易・資本市場の自由化、敵対的買収などM&A(合併・買収)を許容。
・海外からの株式・債券投資のさらなる自由化、外国企業による買収の自由化

⇒韓国では、98年に銀行や企業の破たんが増加し、失業率の上昇(危機前は2%台 ⇒ 99.2に8.7%、失業者178万に)という深刻な副作用が見られました。

<表3>韓国政府がIMFと合意した意向書で示された経済目標
  第1次(1997.12.3) 第2次(97.12.24) 第3次(98.1.7.) 第4次(98.2.7)
GDP成長率(98年) 3% 1〜2% 1%
物価上昇率(98年) 5% 9% 9%台
経常収支(ドル) −43億 30億 80億
財政収支/GDP 均衡/やや黒字 赤字不可避 -0.80%
総流動性増加率 15.4%(97年末) 13.2%(第1四半期) 13.5%(第1四半期)
金利 短期金利を コール金利30% コール金利30% コール金利
  早期上昇 以上許容 水準維持 引き下げ許容
(出所)韓国政府による各次の意向書。
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