human and environment
1-4-1. 環境アセスメント法とは何か
- 環境法・環境政策 -  大久保 規子

A. 環境アセスメントとは −アメリカ生まれの環境アセスメント−
 環境アセスメントは,1969年,アメリカの国家環境政策法(NEPA)において,はじめて法制化されました。そのため,環境アセスメントをめぐる議論では,一般にはなじみにくい英語が,しばしば使われます。
 アセスメント(Assessment)とは,そもそも,目的達成のために複数の代替案を比較検討し,最良の案を選択する意思決定の手法を指します。この判断形成は社会的に行うことが重要であり,環境アセスメントにおいても,住民参加が不可欠であるとされています。

B. 環境アセスメントはなぜ重要か
 環境破壊は不可逆的で,事後的に対策をとろうとすると莫大な費用がかかります。アセスメントは,仮にある開発を行うとしても,それに伴う環境負荷を最小限にとどめ,持続可能な開発を実現するための制度です。
 ただし,アセスメントが適切に行われない場合には,単に開発行為にお墨付きを与えるだけの手段と化してしまいます(いわゆる「アセスメント」)。そこで,情報を公開し,さまざまな人たちの意見を広く採り入れることのできるような制度を作ることが重要です。

 
C. 環境アセスメント法の挫折と成立
 日本は,1997年,OECD27ヶ国中,一番最後に環境アセスメント法を制定しました。これは,アジア諸国(アジア諸国の環境アセスメントはこちら →)の中でも,遅い方です。日本では,なぜそれまで環境アセスメント法が制定されなかったのでしょうか。

詳しくはこちら 環境アセスメント法制定までの道のり →

1970年代前半 OECDが立法化を勧告し,
日本でも,アセス法制化の動き。
1980年代前半 産業界,開発事業官庁の反対で,
旧アセス法案は廃案に(挫折)。
自治体は,条例・要綱により,
独自のアセス制度を導入。
地方アセスはこちら →
1984年 環境影響評価実施要綱(閣議決定)により
アセスを実施(立法化断念)。
閣議アセスの時代が続く。
1993年 環境基本法がアセスの推進を規定。
1997年6月 「環境影響評価法」成立。1999年施行。



白砂青松の残った地域


海岸の浸食部分

アセスでは「海岸に影響がない」とされていましたが実際には、大きな変化が生じてしまいました。