資本の調達形態 経営財務論

 株式会社の資本調達の方法は、資金を企業内部から調達する内部資本調達と、外部から調達する外部資本調達に分類できます。

 内部資本調達には、留保利益と減価償却があります。留保利益とは、企業活動による利益の中で配当されずに企業内に留められた部分です。また、毎期の設備や備品の減価分、摩滅分を費用として計上する減価償却 損益計算書]も資本調達になります。減価償却によって設備の価値は、会計上は徐々に下がっていきますが、実際は耐用年数の間、立派にその役目を果たしています。ですから、実際に、その設備の価値がなくなるのは、耐用年数が過ぎて利用できなくなった時であるはずなのに、減価償却では徐々に価値が下がったとして費用を計上するため、その分だけ新たに資金が企業内にできることになるわけです。この効果をローマン・ルフチ効果といいます。

 外部資本調達は、新しい株式を発行する株式資本調達と各種の借入を利用する負債資本調達に分けられます。株式資本調達は、発行する株式の種類や株式の発行価格や発行相手によって、何種類にも分類できます[ 増資による資本調達]。

 また、借入による資本調達も、銀行からの借入 借入による資本調達]の他に、社債と呼ばれる各種の債券の発行 社債による資本調達]や資金ではなく、設備そのものを借り入れるリースなどがあります。

 内部資本調達と株式資本調達で得られた資本は、商法上の会社の所有者である株主によって出資された資本なので、自己資本と呼び、対して負債による資本調達によって得られた資本は、他人資本と呼びます。ここで「自己資本」といった場合の「自己」は、会社の所有者である株主のことですが、株主とは別の、会社そのものを指すように誤解されることが多く、最近は「株主資本」と呼ぶことが増えてます。
(馬場 大治)