日本の企業グループ 経営管理論


 わが国企業の多くは,三井グループ、日立グループといった、いわゆる企業グループを形成しています。わが国企業の企業グループについて考える場合、明らかに違ったタイプの2つのグループがあることに注意する必要があります。

 一つは6大企業グループとか、単に企業集団と呼ばれるもので、三井、三菱、住友、芙蓉、第一勧銀、三和の各グループがこれに該当します。これはそれぞれの大手都市銀行を中心としてその銀行がメインバンク メインバンク]となり、相互に株式を持ち合ったり 株式持ち合い]、お互いに役員を派遣し合ったりして、緊密な相互関係を築いています。この種の企業グループには、銀行の他に保険会社、総合商社、他あらゆる種類の企業が含まれており、大多数のわが国の一流企業が含まれています。これはそもそも、三井、三菱、住友といった旧財閥企業が資本の自由化に備えて、銀行を中心に株式を相互に持ち合ったことが出発で、それに対抗するために富士銀行、第一勧業銀行、三和銀行も非財閥系企業とで同様の関係を築いて今日の状況になったものです。

 もう一つの企業グループは、メーカーとその下請け部品メーカーや販売会社の関係のように、大企業を中心的な存在としてその取引会社群がグループを形成しているものです。例えば、日立グループは日立製作所を中心としてその子会社、孫会社を中心とする日立との間に取引関係のある会社によって形成されています。6大企業グループが独立の企業が対等な立場で参加しているゆるやかな集団であるのとは違い、中心的な大企業のと他のメンバーの間に資本関係、取引関係によって明らかな支配と被支配の関係がある関係が形成されており、「系列」と呼ばれています。

(馬場 大治)