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quantum mechanics
4-5. ポテンシャルに束縛された粒子の
固有値問題
量子力学 - 太田 雅久
無限に深い井戸型ポテンシャルに閉じ込められている粒子のエネルギー準位を求めてみよう。これはハミルトニアンH固有値Eを求める固有値問題です。

無限に深いポテンシャルの幅をaとして、このポテンシャルの様子は次のように数式で表現されます。

数式

x<0及びa<xの区間ではポテンシャルが無限大であり、粒子が存在する余地がありません。従って、粒子の確率振幅である波動関数はゼロとなります。このポテンシャルの場合は、数式の区間のみHを考えればよろしい。

数式の区間でハミルトニアンを考えてください。
V(x)=0ですから

数式

となります。求める波動関数をu(x)として、固有値方程式Hu(x)=Eu(x)を具体的に書くと、

数式

この微分方程式の解法の技法の一つとして、両辺を数式で割って形を整えます。

数式

この種のシュレディンガー方程式を解く場合に、係数数式に注目します。うまい具合に、この量は波数に対応しています。
そこで

数式

とおきます。固有値Eを求めるということが、波数kの値を求めることにかわります。方程式を書き換えてみます。

数式

これは二階の線形常微分方程式です。

シュレディンガー方程式が、いつもこのような簡単な方程式になるとは限りません。ポテンシャルがxによらず、定数(ここではゼロ)であったからです。
この方程式の独立な解は

数式

です。


この方程式の一般解は、この二つの独立な解の重ね合わせとなります。

数式

さて、この波動関数に対する境界条件はどうなっているでしょうか。
x=0x=aで波動関数がゼロになっています。このことを使って、C1,C2及びkを決めます。
u(0)=0より

C1+C2=0

u(a)=0より

数式

C2=-C1であることを用いて、

数式

この式が成り立つためには数式でなければなりません。

数式の関係を思い出してください。kの値が決まったわけですので、固有値Eが決まったことになります。

数式 , 数式

次に、波動関数(この場合は固有関数と呼んだ方がいいかもしれません)はC2=-C1より

数式

ここで、この関数を規格化します。つまり、

数式

となるようにC1の値で決めます。

数式

ですから

数式
C1を実数と仮定して)


従って、規格化された波動関数は

数式

となります。ここで計算の過程でiが出てきましたが、iは絶対値が1で位相のみに関係する因子です。前にも言いましたように、位相まで決定することはできません。従って、普通はiを取り除いて

数式

が規格化された波動関数(固有関数)として扱われます。
明らかに、

数式

が成り立ちますので、異なる固有値に対応する固有関数は直交しています。
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