企画書の必要性
観察法は、その手続きの手順の多様性・非定形性もあり、「事前の準備がなくったって、ただやみくもに調査をすれば何かがわかる!当たって砕けよう!」(でも、砕けてはイケナイ)と思うかもしれないけれど、そのようなことは決してありません。むしろその逆で、多様性・非定形性ゆえに、事前の準備をしっかり行っておく必要があります。
事前の準備としては、問題意識を手がかりに調査テーマを決めることがまず行われます(3-2-2:テーマの設定)。そして、調査テーマが決まり、調査の目的がはっきりしたら、実際に調査を行う際の準備に入ります。調査企画書づくりは、この準備を意識的に行うために有効ですし、そのほかにも様々なメリットがあります。どんな調査でも必ず事前に企画書を作る習慣をつけましょう。
企画書の意義
- 自分の調査の目的、対象、手法、項目などを意識的に考え、整理できる。
- 実際の調査の際、調査の意図や目的などを、相手に伝えることができる。
- (多くの調査はチームで行うので)調査の目的や項目などの情報を共有できる。
企画書に盛り込むべきこと
調査企画書には様々な事柄が盛り込まれますし、必ずしも決まったスタイルがあるというわけではありません。しかし、観察法に関していえば、少なくとも以下の項目は盛り込まれると考えていいでしょう。
1.背景・問題意識
なぜこの調査を行おうと思ったのかに至る背景。社会的背景や個人的背景が含まれる。「なぜ、自分は以下の調査を行おうと思ったのか」という問いに答えられるものを。
2.調査の目的
上の背景や問題意識を踏まえ、実際にこの調査では何を行うのか(明らかにするのか)という点を端的に述べる。1つの場合もあるし、複数の場合(並列、下位目的など)もありうる。自分の調査が、仮説検証型を志向するのか、問題発見型を志向するのかも改めて考えよう。
3.調査対象
実際に調査を行う対象(範囲)。タウンウォッチングの場合には、対象地域とそのプロフィールについて記す。
4.調査方法
どのような方法で調査を行うのか。調査時期や調査機材、調査の手続きなど、なるべく具体的にしておく。これを詳細に記すことの必要性は、調査の結果がその方法に大きく依存するからである。
5.調査項目
実際に何を調べるのかについて調査目的との関連で具体的にする。企画書としても、実際の調査としても、この箇所がもっとも重要となる。特に仮説の検証を行う場合は、この項目をどう設定するかが調査の成否の半分以上を占めるといってもいい。
→これらのことは、前回 3-2 観察法を行うにあたって(3-2-2:テーマの設定)で示したことと、実は同じです。
企画書に盛り込むべき項目
・場所: | どの街について観察しようか? |
・背景: | なぜその街を選んだのだろうか?何が分かる?何が知りたい? |
・目的: | 仮説検証を志向するか、問題発見を志向するか? |
・項目: | 街のどのようなところに着目すればいいだろうか? |
・方法: | それを記録するにはどうしたらいいだろうか? |
調査項目について考える
調査の目的と対象が決まり、事前の下調べも進みだすと、いよいよ実際に記録の対象となる調査項目について考える段階に入ります。それには、「△△を知るには何を見ればいいのだろうか」「○○を見ることで何がわかるのだろうか」ということを具体的に考えることであり、いわば「知りたいことを示す具体的な指標は何だろうか」を考える作業です。特に、仮説検証型の調査の場合は重要です。
例:「岡本の街のおしゃれ度を検証する」
⇒“おしゃれ度”を 何から計るか、他の街との比較はどうするか…
・店の明るさ、ディスプレイ
・街や店内の空間的ゆとり
・街や店内で流れている音楽(BGM)
・人々の服装、靴の種類、買い物袋の種類…
例:「この街の景気を知りたい」
⇒統計から調べる方法もありますが、それ以外で“景気”を 何から読み取るか…
・駅の空き広告の数
・空き店舗の状況
・駐車している自動車の種類…
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自分の行う調査での「具体的な調査対象」や「調査項目」をリストアップしてみよう |
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以下の項目から何を知ることができるだろうか?考えてみよう。
タウンウォッチングの例:
・この街の建物や看板は、どのような色やデザインが使われているか?
・どういう人たちが、どういう店に行っているか?また、どういう店が多いか?
・変わった(この街ならではの)店や建物などはあるか?
・人が集まっているところはどのようなところか?
・ビルやマンションの名前はどうか?
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などなど。色々考えてみよう。
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