レポートや卒論を書く場合、自分の扱うテーマについてこれまでどのような研究があったのか(これを「先行(せんこう)研究」という)、おおよそ知っておく必要がでてくる。一冊の本の形ではまとまっていなくても、雑誌には関連研究が発表されていることがあるし、新しい研究成果を知ることができるだろう。テーマのキーワードや、著者名などから探すことができる代表的な方法を覚えておこう。ただし、調べることができるのは、いずれの方法においても、論文のタイトルや著者名、その論文の載った雑誌名・号数・発行日などであり、論文本体を読むことはできない。論文本体を読むためには、掲載された雑誌の所蔵を調べ、探し出す必要がある。
6-1-4 単行本を調べる 国立国会図書館の「雑誌記事検索web版」
国内の主な雑誌の論文を探す基本ツール。
国立国会図書館に収められた国内刊行の雑誌や大学紀要の戦後の論文を検索することができる。自宅からでもどこからでもアクセスできるので便利である。国立国会図書館ホームページのトップページ(http://www.ndl.go.jp/)を開き、「NDL‐OPAC」⇒「雑誌記事索引の検索/申込み」⇒「雑誌記事索引検索」画面を開けてみよう。そして、「論題名」にテーマのキーワードを入れてみよう。
たとえば、「ドメスティック・バイオレンス」について調べたい場合、「論題名」に「ドメスティック・バイオレンス」を入れると、2001年〜151件、1996〜2000年115件、1984年〜1995年1件、〜1983年0件、というデータが出てくるはずだ(2003年10月現在)。1983年以前の論文は0件だが、実際に問題がなかったわけではない。「ドメスティック・バイオレンス」という概念が新しく作られ、研究が急速に進んでいることがこの数からはわかる。試しに「家庭内暴力」という類似の言葉を入力してみると、今度は、1983年以前にも70件の論文が出てくるだろう。このように、検索のときには、できるだけ頭をやわらかくして、外来語を日本語に直してみたり、類語やもっと広い概念を考えるなど、工夫が必要になってくる。
「MAGAZINE PLUS(マガジン・プラス)」
国内で最大規模の雑誌・論文情報。
国立国会図書館の「雑誌記事検索」はどちらかと言えば学術的な論文が多いが、MAGAZINE PLUSでは、もっと広く読まれるポピュラーな一般総合誌に載った雑誌記事も含めて検索できる。本学ではサイバーライブラリーや学内のパソコンからアクセスできる。 甲南大学図書館ホームページ「外部データベース」 http://www.adm.konan-u.ac.jp/lib/search/index.htm (学内からのみ利用可能です) 「大宅壮一文庫雑誌記事検索」
大衆娯楽・風俗誌の雑誌専門図書館である大宅壮一(おおやそういち)文庫(http://www.oya-bunko.or.jp/)の雑誌索引。サイバーライブラリーにあるCD-ROM(1988〜現在)を利用して検索することができる。
大宅壮一文庫では、明治から現在までの1万種類48万冊の雑誌を所蔵しており、週刊誌の記事を探すことができ、特に娯楽や風俗などを研究するのに適している。たとえば、大宅壮一文庫のホームページでは、「どんな索引が引けるか」というコーナーで、「BoA(歌手)」や「一青窈(ミュージシャン)」に関する雑誌論文を紹介している。索引件数は、BoAが44件、一青窈が22件(2003年春現在)、掲載雑誌は、セブンティーン、サンデー毎日、日経エンタテイメント、non.no、Withなど多様である。大宅壮一文庫雑誌記事索引で読みたい記事が見つかったら、その収録された雑誌を探さなくてはならないが、大衆週刊誌のバックナンバーは所蔵している図書館が少ない。東京にある大宅壮一文庫に直接出かけて、記事をコピーしてもよいし、文庫に資料の郵送を頼むこともできる。ただし、費用は自分で負担しなければならない。 このように、「雑誌記事論文」と言っても、学術的なものから大衆週刊誌にいたるまで色々な種類があるので、学術論文を中心に調べたい場合は国立国会図書館のweb版を、より広く雑誌記事を探したい場合はマガジン・プラスを、大衆週刊誌を調べたい場合は大宅壮一文庫を、と使い分けてもよいだろう。
1 Fさんは国立国会図書館のデータベースから、次のような論文を見つけた。
小玉亮子「母の日のポリティクス――その成立と普及についての比較史的検討」。掲載された雑誌名は、教育学年報(通号7)[1999.09]とある。この場合、論文を読みたければ、OPACなどで『教育学年報』が大学図書館にあるかどうか、なければどこにあるかを探さなくてはならない。このように論文にたどりつくまでには、場合によっては大変手間隙のかかることもあるが、宝探しの気分で挑戦してみよう。 |