分析媒体(マテリアル)をまとめて一気に買ってしまった方が便利な場合もあります。また、それしか入手方法がない場合もあります。機会や予算に恵まれるのであれば、検討すれば良いのでしょうが、大学生の卒業論文執筆には向いていないやり方です。また、分析媒体(マテリアル)のデータは、マスメディア由来のもの、調査者自らが収集収録したものなど、複数の異なる出自がありますが、その使用許諾や公表制約についても考えておく必要があります。
地上波のテレビドラマを内容分析する場合、初回から最終回までハードディスクなどで録画できれば良いのですが、放送途中から、あるいは過去の作品、機器の不足や故障などからそれが出来ないこともあります。比較的安価で借りられるレンタルビデオ店などでも入手できなければ、動画サイトの視聴権やDVD製品の購入しか残された選択はない訳です。お小遣いが潤沢に遣える方や研究費に恵まれていれば別ですが、卒業論文の場合であれば経済的な無理はきかないでしょう。研究計画の方針変更を早い時点で行い、入手しやすい作品などに代替してゆく工夫が必要です。
新聞、雑誌、テレビ番組、映画などの内容分析で、作品の使用許諾を得なければならない場合はほとんどありません。文面や画像、映像をそのまま引用するのではなく、その統計的傾向を捉えることが目的だからです。逆に、著作権に絡む使用許諾を取らなければならないほど文面や画像、映像をそのままの形で使ったとするならば、その研究自体が社会学として不適切だともいえるでしょう。通常の内容分析とその結果公表であれば、特に使用許諾の心配はありません。公表制約も普通はないものと考えて良いでしょう。
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