新聞や雑誌など紙媒体やウェブ上のブログやSNSなどの内容分析の場合は、そこで出現した単語(word)や文(sentence)の、頻度数を計るのが最も標準的な測定です。具体的には、「かわいい」という単語が何回用いられていたか、あるいは「スタバなう」という文が何回ツイートされていたかを数えるということです。頻度数ではなく、出現したか否かという単純な、0もしくは1の値で示される、より簡便な計り方もあります。
単語や文の出現頻度数の測定が内容分析の主たる仕事であることは間違いありませんが、その国や時代の文化によって、個々の言葉に与えられた意味に大きく依存しています。可能であるならば、文化の外側からその解釈を助ける仕掛けがあると良い結果が得られます。単語や文の出現頻度数や出現の測定が、文化変数(cultural variable)を計る作業だとするならば、個別の文化を越えた、面積, 時間, 色彩など揺るがぬ物理変数(physical variable)の測定を心掛けることが望ましいでしょう。
まんがであれば、当該コマの大きさ、雑誌のコラム記事であれば記事の大きさ、ファッション誌におけるモデルの写真の大きさなどを、例えば、1頁全体に16の値を与えて測定単位として計ることができます。見開き2頁であれば32の値をデータとして入力すれば良いでしょう。1頁であれば16の値を、半頁であれば8の値を、4分の1頁であれば4の値を、8分の1頁であれば2の値を、16分の1頁であれば1の値を入力します。ちょうど半頁やちょうど4分の1頁ではない場合もありますが、可能な範囲で近似させれば充分でしょう。これらは、まんが作品のコマ、コラム記事、モデルの写真などが誌面に占める広さすなわち面積という物理量です。この物理量32が1より32倍も大きいことは、異なる文化間でも共通です。いや他の惑星の文明間でもおそらくは共通でしょう。コマ、記事、写真などの面積という物理変数は、そこで発信されているメッセージに係わる文化変数の重要度や強度のバロメータとして使えるのです。
テレビ放送、映画やDVDなどの動画分析では、特定シーンや台詞(せりふ)持続時間、ファッション誌などでは背景色や文字色などの色彩が重要な物理変数となります。
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