株式公開(上場)の意味 経営財務論

 株式会社は資本を証券化し、自由に売買できることで他の企業形態よりもより簡単に資本を集めることができる企業形態です[ 株式会社の仕組み]。ただし、法律的に株式を自由に売買できることは、実質的にそれを自由に売買できることとは違います。売り手が買い手を簡単に見つけられなければ、実質的に自由に売買できることにはなりません。株式会社の株式が、証券取引所に上場されたり、店頭公開されることにより初めて株式の実質的に自由な売買が可能となり、株式会社の有利性が発揮されるわけです。

 全国には、東京、大阪、名古屋、札幌、新潟、京都、広島、福岡の8ケ所に証券取引所が設置されており、株式がそこでの取引の対象となることを株式上場といいます。株式が上場されるためには、発行会社が証券取引所に上場申請することが必要です。その際、発行株数、資本金の額、浮動株主数、総資産額などに関して一定の基準を満たさなくてはなりません。東京、大阪、名古屋の証券取引所は1部市場と2部市場があり、これらの3証券取引所の1部市場の基準が最も高く、2部市場と他の証券取引所の市場が続きます。

 証券取引所が開設する市場で行われる取引以外の株式取引を店頭取引といい、店頭取引の行われる市場を一括して、店頭市場といいます。特に店頭売買銘柄登録制度のもと、日本証券業協会が、一定の要件を満たした株式を登録銘柄として登録し、売買値段や売買高等を発表し、発行会社のディスクロジャーをしています。店頭登録され、公開された株式は、証券取引所に上場されるわけではありませんが、現在の制度では、流通性を得て実質的に自由な売買が可能となります。店頭登録されるための基準は上場の基準よりも甘く、一般に企業規模の拡大によって、店頭登録から、2部・地方市場に上場、1部市場に上場へ、というコースをたどります。

 店頭登録や上場によって株式を公募 増資による資本調達]したり、社債等の証券を発行できる 社債による資本調達]ようになり、資本調達がより簡単になりますが、他にも社会的に大企業と認知されて、会社の信用力や知名度、従業員の勤労意欲を高める効果があるとされています。

(馬場 大治)