社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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5-2-5 雑多な疑問を言葉にする
いろいろな疑問

A.グローブは最貧困区?
1970年代前半、グローブ・ネイバーフッド・センターが設立された当初のドキュメントを読むと、グローブ区について一見相反するような2種類の記述がある。1つはインナー・ロンドンのなかで「普通」の区であることが強調され、もう1つは、インナー・ロンドンで最貧困区の1つであることが強調されている。70年代初め、グローブ区は、なぜハマースミス・コミュニティ開発プロジェクトの対象となり、実際のところはどのような地区であり、その後30年間に地域の環境はどのように変化したのだろうか。

B.グローブ・ネイバーフッド・センターは民間非営利団体?地方自治体、他の民間組織との関係
グローブ・ネイバーフッド・センターは、地方自治体や他の民間団体との密接な関係のなかで誕生し、場所を得て施設を充実し発展してきた。現在でも年間の運営資金の半分以上をハマースミス&フラム自治体と国営宝くじ慈善事業の助成金に頼っている。民間非営利団体とはいうものの、公共機関や民間諸団体とどのような関係にあるのだろうか。助成金を得ることによって、センターの活動にどのような制約があるのだろうか。

C.グローブ・ネイバーフッド・センターは歴史に無関心?
2003年6月、グローブ・ネイバーフッド・センターおよびカウンシルは設立、結成30周年を迎えた。この年8月にセンターを訪問したが、30年の記念行事が行われた形跡はなく、GNCの30年の歩みなるものも発行されていない。それどころか、この年が30周年であることをほとんどの人が知らない。住民による住民のためのコミュニティ・センターとして、先人たちが苦労して資金、場所をえてセンターを建て、紆余曲折をへてセンターを運営してきたというのに、センターのスタッフも運営委員も、センターの設立に際しての事情や今日に至るまでの経緯、歴史にも関心がない。センター設立のキーパーソンの名前を聞くことも、写真や代々のセンター長やスタッフの写真なども見当たらない。不思議である。

D.グローブ区の消滅?
もう1つ腑に落ちないのは、グローブ区についてである。グローブ・ネイバーフッド・センターのグローブとは区(Ward)の名称であり、グローブ区のコミュニティ・センターである。運営委員も(旧)グローブ内から選出されることになっている。ところがハマースミス&フラム自治区内の区画は、2002年5月に23から16に大きく改変された。旧グローブ区は、レイヴンズコート・パーク区(Ravenscourt Park Ward、2001年現在人口10,791人)とハマースミス・ブロードウェイ区(Hammersmith Broadway Ward、11,560人)に二分された。グローブ区を対象として始まったグローブ・ネイバーフッド・センターの基盤となるはずのグローブの名称も実態も消滅したことになる。ところがGNCの関係者がとくにそれを大きな問題として受け取っている様子はない。よく調べてみると、グローブ・ネイバーフッド・センターが活動範囲として設定しているグローブとは、1973年にセンターが設立された時点でのグローブ区の範囲である。私が地図を片手に歩いたのは2002年5月までのグローブ区の境界であり、グローブ・ネイバーフッド・センターが活動対象として設定しているグローブはこれよりも一回り広い範囲である。そもそも区(Ward)とはどのような行政単位なのか。住民にとってグローブ区という単位は意味があるのだろうか。グローブ・ネイバーフッド・カウンシルの規程の記しているようなコミュニティ精神(Community Spirit)を育むには、区は人口規模が大きすぎるのではないか。


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