社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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5-2 事例編―ロンドン、都市の地域社会、コミュニティセンター
5-2-0 はじめに


フィールドワークの始まり
漠然とした関心はあるが言語化できるほど明確ではない段階に、心身をとおして考えるフィールドワー クの面白さと難しさがあります。5-2 事例編 では、ロンドン のハマースミスの一画にあるコミュニティ・センターでの調査を事例に、「フィールドワークの始まり」を、紹介しています。調査の進行と並行してコンテンツに掲載することで、フィールドワークを再考するきっかけになると考えたからです。

手探りで動く/試行錯誤に原点
最初に明確なテーマがあって研究が始まるとはかぎりません。見通しが立たない、だからこそ手探りで動いてみてもよいのではないでしょうか。フィールドワークに定式はありません。これまでの自分の調査経験をそのまま活かせるとは限らず、アプローチの方向性、調査方法を現状にあわせて柔軟に練らざるをえません。試行錯誤のそのプロセスに、これから始めようとすることの原点があると思います。ここでは2001年からの調査を4つの段階に分けて紹介しています。
  • 「不思議な空間への関心/漠然を記録する」5-2-1, 5-2-2
    2001年9月から一年間、ロンドンに滞在していた私が、下宿の近くにあるグローブ・ネイバーフッド・センターに関わり興味を深めてゆく過程の記録です。漠然とした関心こそ、フィールドワークの大切な要素です。
  • 「調査の始まり/疑問を言葉にする」5-2-3, 5-2-4, 5-2-5
    ボランティア登録、運営委員などの活動をとおしてセンターや地域への好奇心がつのり、2002年夏に、意を決し調査を始める最初の一歩の記録です。どのようにして、一住民から調査者へと立場を切り替え、調査の見通しが明確ではない段階で情報を収集してゆくのか。
  • 「人と情報をつなぐ/記録と向き合う」5-2-6, 5-2-7, 5-2-8
    2003年8月にロンドンを再訪したときの取材記録です。これまで収集した情報と人との関係と偶然とをつなげてキーパーソンに出会うまでのプロセスです。このコンテンツのVer.1は、2003年8月の調査をまとめながら作成されました。
  • 「調査に『かたち』を与える/交信」5-2-9, 5-2-10, 5-3
    2004年8月の調査では、これまでの調査をまとめた英文報告書を関係者に配布し、そのコメントを受けながら取材をしています。人々の一致しない見解のなかに、多面的な現実を考えるヒントがありそうです。ここまでがVer.2の更新(2005年4月)です。その英文報告書に画像やインタビュー音声など多種の資料を加えて、5-3「実験編―発信してつなぐ」に掲載しました。調査地域からも自由にアクセスできるWeb空間が、フィールドワークのどのような場所となりうるのか、これからの実験です。
    さて、こうしたインターネット上の報告書の発信は、誰の手に届いたのでしょうか。2005年8月の滞在では、調査は、思わぬ方向へ展開してゆきます。それは「フィールドワークの始まり」の区切りでもありました。5-2-10は、コンテンツVer.3で更新(2006年4月)しました。
*本サイトや「5 フィールドワーク」についてのコメントや教材として利用された感想などは、koubou@center.konan-u.ac.jp へお寄せください。

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