社会調査工房オンライン-社会調査の方法
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5-1 基本編―フィールドワークを始める人へ
フィールドワークとは
5-1-3 フィールドワークの6つのポイント



フィールドワークを考えるうえでのヒントとして、6つのポイントを記しておきます。フィールドワークを実践しながら、いつかまた読み返してください。そこからあなたが何を連想するのか、考えるのか、視点が少しずつ変わっているかもしれません。

フィールドワークは、協力者なくしてはできません。人とともに作業をすすめてゆくうえで、その時々に調査をわかりやすく説明する必要があります。研究の全体的な構想、一つ一つの調査目的、作業内容についての明確な説明、資金、時間などについての現状をふまえた具体的な企画が求められます。

調査技法は、実践のための道具です。先に調査法が固定されているわけでも、計量化できる情報のみが調査データなのでもありません。目的におうじた方法を戦略的に選び、臨機応変創意工夫し、創造的に組み合わせます。状況に柔軟に対応するためには周到な準備が必要です。

五感をとおしてえた情報は、第三者に伝えうるかたちに変換しておく必要があります。道具を使って記録し位置づける作業に、情報収集よりも多くの時間を費やします。今そこにいない誰かが、10年後のあなたが、その記録を利用し解釈することができる状態に、情報を今、整理しておくことが大切です。

フィールドワークの原点は、人と人との関係です。出会う人に自分を位置づけるところから、実践としてのフィールドワークは始まります。相手を知るだけでなく、相手にとって自分がどのような存在であるかを知る。人との距離をはかり、相手と自分のプライバシーに配慮し、発信された情報がもたらす影響を多角的に考える必要があります。

異なる時間感覚をあわせもつことが、フィールドワークを何倍も楽しむこつです。期限から逆算して時間を配分して作業をすすめることも、今はまだと時機をまつことも、予想外の出来事に翻弄されることもあります。さまざまな制約はありますが、未知への好奇心が時間を開きます。

探索という行為に終わりはありません。だからこそ、節目や区切りを意識してその段階でのまとめが必要となります。「途中」だからこそ伝える。発信することによって第三者とつながり交信ができます。誰に何をどのように伝えるのか、表現のかたちと方法には、さまざまな可能性があります。


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